サーバー構成管理ツール評価R&D
1.背景
ITが社会インフラ化し、また日本版SOX法が施行されたことなどの影響により、IT運用が社会的に重要視される時代になりました。米国のベンダーからは世界に先駆けてITIL(IT Infrastructure Library)に準拠した構成管理ツールが出荷され、その活用事例も報告されています。NRIでは、これらの構成管理ツールをNRIが実際に構築したあるシステムの擬似環境を用いて実機で評価しました。
2.製品評価
本製品評価における調査・研究は、以下の2つの長期的な目標に対し実施しました。
○ 現在市場にある構成管理製品を調査し、各製品が目指す方向性とポジショニングを明らかにする
○ 運用技術力強化のための新技術の検証および獲得と、オートノミックコンピューティング(運用の自動化)実現に向けた課題の整理
具体的には、机上評価フェーズと実機評価フェーズの2つのフェーズに分けて調査を実施しました。
(1)机上評価フェーズ
まず、ツールのオートノミックコンピューティング(運用の自動化)の実装レベルを表現するためにNRIが独自に作成した技術評価標準である『MAPE-CUBE』(図1)を用いてIT運用に関するベンダー30社の製品を対象に、オートノミックコンピューティングの実装レベル評価を実施しました。
図1 オートノミックコンピューティングにおけるアーキテクチャと
ITIL技術評価標準『MAPE-CUBE』
次にその結果を踏まえて、主要ベンダー7社の製品を対象に机上評価を実施しました。その結果評価ポイントが高かったのは、A社とB社の製品でした。
(2)実機評価フェーズ
机上評価フェーズの結果に基づき、評価の高かった製品に対し実機での製品評価を実施しました。対象はA社とB社の製品とし、評価内容は構成管理情報の取得に留まらず、その活用までを含めた(ITILにおける他のプロセスとの連携を含めた)評価を実施しました。
実機評価を行った結果、A社については、依存性マッピング機能によりビジネスとITとの関係を可視化することが可能となり、さらにビジネスインパクトシミュレーション機能により、他のツールには無い有効な機能を検証できました。(図2)
図2 A社製品における依存性マッピングとビジネスインパクトシミュレーション
また、B社製品については、Span Portを使用した通信状態の可視化や、障害の根本原因類推機能といった他のツールには無い有効な機能の検証を通じ、複雑なネットワーク構成における障害切りわけの時間短縮に効果を発揮ものであることが確認できました。(図3)
図3 B社製品におけるSpan Portを使用した通信状態の可視化と根本原因類推機能
3.まとめ
本調査・研究を通じてサーバー構成管理ツールはまだ過渡期の段階にあり各製品とも一長一短であることが分かりました。しかし大手ベンダー各社とも買収したサーバー構成管理ツールと既存の製品との連携・統合に力を入れており、目的を限定して導入すれば有効な効果を挙げられると考えられます。
製品が成熟しても、人とプロセスの改善は求められます。ITILに準拠したツール(テクノロジー)の導入は、現状の組織(人)やワークフロー(プロセス)を見直す良いきっかけとなりえます。ITILに準拠したツールの導入を通じて、人・プロセス・テクノロジーの段階的な改善に着手し、IT運用時代の社会的な要請に早く備えることを推奨します。
【2008年 5月15日掲載】



